高校受験対策の塾は中学生のいつから始める？選び方や費用について

下の表は、文部科学省が発表した「平成28年度子どもの学習費調査」のデータを基に、中学生の通塾率の割合を示したものです。公立・私立別に表記しています。

文部科学省:「平成28年度　子どもの学習費調査」

この表を見ると、公立・私立どちらの場合でも実に半数以上の生徒が塾へ通っていることがわかります。受験本番の年のため、３年生は特に通塾率が高くなっています。

ではいつから塾に入るのが良いのでしょうか？塾に通い始めるタイミング別にそれぞれ解説していきます。

中学1年生

中学1年生から塾に通うメリットは時間を豊富に使える点です。中学生になったばかりの時期は勉強習慣が身に付いていないお子様も多く、自宅学習が上手くできないということも。より早く勉強習慣を身に着けさせることで、学校の授業に対応できる力を養うことができ、また比較的スムーズに受験勉強に励めます。塾側としても長いスパンで余裕を持った受験スケジュールを組むことができ、高校受験の成功率を高められます。

もう1つ重要なことは内申点です。この時期のお子様たちはグングンと学力が伸びます。勉強に関しては、どこかでつまずいたとしてもすぐに遅れを取り戻すことができます。しかし、内申点は一度落とすと取り戻すことができません。中学3年生で難関校を受ける学力が身に付いたとしても、それまでの内申点で断念せざるを得ないケースも。難関校を視野に入れている場合はより早い対策が重要になるのです。

中学2年生

中学2年生で塾に行き始めた場合、内申点の対策にはまだ間に合います。高校受験では3年生以前の内申点も重要だからです。

また部活なども忙しくなるタイミングではありますが、2年生のうちから塾に行き、内容の定着・理解を完成させることも高校受験では大切です。
今は中学3年生になって通塾するのは当たり前な時代。ライバルと差をつけるためにも2年生のうちにカリキュラムの理解と定着を終わらせておく必要があります。このように内申点対策と内容理解を同時に行えるのは中学2年生で通塾する大きなメリットと言えるでしょう。

さらにもう1つ、中学2年生から塾に通うメリットは勉強の中だるみを防げる点にあります。中学２年生は勉強の中だるみに陥りやすい時期です。この時期から部活が忙しくなったり、勉強内容を難しく感じたりするお子様が増えていきます。勉強内容はだんだんとレベルが上がっていくので、ここで勉強につまずいてしまうと、わからないことが雪だるま式に増えてしまうことも。お子様はわからないことが増えるたび、勉強へのモチベーションがさらに下がってしまいます。

勉強へのモチベーションを上げるには「スケジューリング」をしっかりすることが重要です。塾に通うと、週に何度か決まった時間を勉強にあてることになります。そうしているうちにお子様の中で勉強のペースができあがり、塾はいわば「ペースメーカー」の役割をはたしてくれるのです。勉強を自然と習慣化できるのも塾の大きなメリットです。

中学3年生

中学3年生になると、ほとんどが塾に通い始めます。基本的に3年生になる前に内容を定着、理解するようにカリキュラムは組まれています。そのためここからスタートする場合、2年生から通塾している人と戦っていく覚悟が必要です。

しかし、中学3年生の時期は学力が大幅に上がる時期であるといえます。部活動が終わり、時間に余裕ができるだけでなく、受験が近づくことでお子様本人の勉強への意識も変わります。環境さえ整えばすぐにでも学力アップが見込めるタイミングです。中学3年生の初めから塾に通い始めたとしてもレベルの高い志望校に受かることは大いに可能です。

しかしあまりにも直前である場合は入塾を断る塾もあるため注意。早め早めの行動が特に重要な時期といえるでしょう。

※上記は文部科学省「平成28年度子どもの学習費調査」（P8.図4－3）と「家計調査報告（家計収支編）平成28年」（P24.図Ⅱ-1-2）から算出。小数点第二以下切り捨てで表記しています。
※計算式は「平均学習費」÷「可処分所得」です。生命保険文化センター：「教育費が家計に与える影響は？」の算出方法に依拠。

上記は家庭の所得のうち、学習費用がどれほどの割合になるかをパーセンテージで表しているものです。中学生のお子様を持つ家庭の場合、自由に扱える収入の3.4％～4.1％を学習費にあてていることがわかります。

塾の料金は指導形態や通うコマ数など条件によって大きく異なります。そのため「平均学習費」で見た場合、実態とかけ離れてしまうこともあるので注意が必要です。学習塾を選ぶ際にはこの割合の数字もぜひ参考にしてみてください。

通塾にかかる費用の内訳

塾に通うためには授業料のほかにも、さまざまな費用がかかります。通塾の際にかかってくる費用には以下のものがあります。

・授業料
・季節講習費
・入会費・年会費
・教材費
・模試代
・校舎維持費(諸経費)
・特別講座費

※上記が必ず必要とは限りません。塾によって請求項目が異なるため、各塾で事前確認が必要です。

授業料に関しては塾によりバラつきがあります。ただし、一般的には集団指導塾の方が個別指導塾よりも授業料が安い傾向にあります。

また、塾によっては入会費や年会費が不要、もしくは無料キャンペーンを行っている場合も。塾によって使う教材も違うため、教材費も塾次第で大きく異なってきます。費用を重視して塾を検討する際には、授業料だけに着目するのではなく、その他の費用も含めた、通塾のトータルコストで比較検討することが大切です。

入塾させる前に確認すべきお子様の現状の項目は下記2点です。

・お子様のやる気と性格
・お子様の学校の成績

お子様の現状によって、お子様にあった塾のタイプなどが変わってきます。塾へ通わせる前にお子様の現状を確認しておきましょう。

お子様のやる気と性格をチェック！

まずはお子様のやる気と性格を把握しましょう。どんなに素晴らしい環境であっても、本人のやる気がなければ学力アップは期待できません。逆にどんなにやる気を持っていたとしても塾のレベルや種類といった環境がマッチしていなければ学力は伸び悩んでしまいます。
そのためやる気と性格を見極め、「個別指導か集団か」「受験対策か基礎学習か」といった指導形態や目的を考慮することが塾選びでは特に重要です。

お子様の学校の成績で学力を知ろう！

実際にお子様がどの程度の学力を持っているかしっかり見極めましょう。塾によってどの程度の学力を持つ生徒を得意とするかなどの違いがあります。雰囲気が合っていると感じても、学力レベルが合っていなければ学力を伸ばすことはできません。
指標として、テストの点数と平均点を照らし合わせてみることをおすすめします。平均点に達していない科目が多い場合は個別授業で苦手を克服するとよいでしょう。

お子様の高校受験を成功に導くためにも、塾選びは重要です。塾選びでつまずいてしまわないために重要な選び方を3つご紹介します。

塾選びに失敗しないための3つ観点

・塾の方針を確認
・体験授業で実際の雰囲気を見る
・合格実績をチェック

塾の方針

塾にもタイプがあります。おとなしい雰囲気、競争心をあおる、ほめて伸ばすなどの雰囲気だけでなく、学習方法や目的も異なります。受験対策だけでなく、基礎学力の確保を目的にする場所もあるためしっかり確認しましょう。
まずは勉強の目的を明確にし、塾を選びましょう。そしてお子様の性格に合う塾選びをしていくことが重要です。

体験授業

目的や方針は掲載情報から知ることができますが、リサーチが難しいのは塾の雰囲気やカラーです。口コミで聞いた印象とお子様の受けた印象が真逆だったということもあり得ます。「その塾がどんな色を持っているのか？」というのは実際に講師の授業内容や生徒の雰囲気をみてみないとわからないものです。ミスマッチを避けるためにも、もし興味のある塾がある場合は一度体験授業を受けてみることをおすすめします。

合格実績

合格実績はわかりやすい指標であると言えます。合格者を一定数出すということは受験対策のノウハウがそれだけ備わっているということ。しかし、合格実績だけで塾を判断するのは危険です。あくまで塾選びの参考として見るくらいに納めておきましょう。

なぜなら、表記されている合格実績が割合でなく、合格者数の場合は母数の多い大手の塾が良く見えてしまいがちになります。また塾によっては進路指導方針として志望校を下げてでも合格させて実績数値を上げている可能性もあります。塾を比較・吟味する際にはこうした点にも注意していきましょう。

塾を選ぶ際には、指導形態の違いに着目してみましょう。塾の指導形態は主に下記2つの種類に分けることができます。

・集団授業
・個別指導

集団の特長 - クラス単位別のレベルで授業

競争心が強く、悔しさをばねにできるタイプのお子様におすすめです。授業は学力ごとに分けられたクラス単位で進んでいきます。大なり小なり集団についていくことが求められるため、自分のペースで勉強を行いたい場合にはストレスを感じてしまうお子様もいるかもしれません。また集団授業の場合は疑問点があっても講師に聞きづらく、尻込みしてしまう人もいるようです。

個別の特長 - 講師1人に対し生徒が1～3人程度の少人数制

個別指導の特長は自分のペースでしっかりと勉強することができるという点です。自分のペースで物事を進めたいというお子様に向いています。生徒１人１人に合わせた授業深度になるため、無駄なくしっかりと教えてもらえます。また講師もお子様の疑問にいち早く気づくことができるため、わからないポイントを残さず、着実に学力を上げることができます。集団授業に比べると講師への質問がしやすいのもメリットと言えます。

個別指導塾には、講師が生徒に授業を行うタイプと、生徒が自習をしてわからない問題を講師が教えるタイプなどがあります。講師1人に対する生徒数という違いもあるので、塾を選ぶ際には、塾ごとの学習スタイルも調べておきましょう。

高校受験対策で塾に通う中学生は多く、その分さまざまな塾が点在しています。それぞれ特色は違うため、お子様にあった塾選びをすることが重要です。せっかく時間とお金を使うのならばお子様の学力を最大限引き出せる塾をさがしたいですよね。今回の記事を参考にぜひお子様の相性に合った塾選びをしてみてください。

湘南ゼミナール個別指導コースではお子さまのタイプに合わせ、それぞれのお子さまに寄り添った学習指導を行っています。